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バ先のダウナー男子に、気付けば毎日溶かされています。
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Penulis: 五慈あおい

第1話 最悪の初対面

Penulis: 五慈あおい
last update Tanggal publikasi: 2026-04-11 18:26:08

 大学生になって初めて挑戦するアルバイトは、小さい頃から大好きだったアイスクリームショップの店員だった。

 海外風のポップな内装。アイスケースには、カラフルで何十種類ものアイスが並んでいる。

 接客は明るく、家族とでも友達とでも、アイスを食べるならこの店一択――と言っていいほど馴染みのある店だ。

 まさか、自分がこの店で働けるなんて、少し夢みたいだった。今日はその初日。緊張と期待で、朝からずっと胸が高鳴っている。

小瀧こたきです、宜しくお願いします」

「店長の佐藤です。こちらこそ今日から宜しくね!」

 佐藤店長の名札には、金の星が三つ光っていて、社員としても仕事が出来る人なんだと分かる。明るいし、ハキハキしているし、佇まいも堂々としている。しっかり教育してくれそうな雰囲気に、俺は背筋がピンと伸びる思いがした。

 副店長やバイザーにも挨拶を済ませ、店長に案内されながら、従業員向けの休憩スペースに案内された。

 店長と向かい合って座り、オリエンテーションとして綴られたファイルを読み合わせながら、大まかな説明を受けた。

 すると、休憩室のドアが開いて、一人の男性が入ってきた。勤怠を記録する機械にスマホのQRコードをかざす。店長は俺につられたように顔を上げると、その男性の姿を見て微笑んだ。

「ああ、ちょうどいい所に。佐伯くん、ちょっとこっちに来てくれる?」

「はい」

 声をかけられた「佐伯」という男性は、出勤したばかりのようで、上着姿のまま足をとめた。

「小瀧くん、アルバイトリーダーの佐伯澄人さえきすみとくんだよ」

 第一印象は、正直いって抜群だった。

 整った顔立ちに、すっとした長身。ダークアッシュの髪はセンターパートで軽くセットされている。涼しげな目元で、誰がどう見てもイケメン。

 友達から『あの店舗って顔採用あるらしいよ』と聞いたことがけれど、確かにその噂は本当だったと思うほどだった。

「佐伯くん、こちらが新しく入った、小瀧南緒こたきなおくんです。いつも通り、指導係として教えてあげてね」

 店長にそう紹介されて、俺は軽く会釈する。

「あ……えっと、小瀧です。宜しくお願いします」

 目の前にいる俺を見下ろして、腕を組んだまま顔をじっと見つめられた。

「えー、マジすか。教えるのめんどくさ……俺、やりたくないんですけど」

 さっきまでのクールな雰囲気はどこへやら、あくびをかみ殺しながら、あからさまに面倒そうに頭をかいた。

 そのだらしない態度にぎょっとして、思わず固まる。

 信じられない。店長の前で、その態度ってアリなのか?

「でも、佐伯くんと小瀧くんは同い年だから。話も合うと思うよ?」

 店長が苦笑いしながら、なんとか場をおさめようとしてくれる。

 同い年で、バイトリーダーってことは、高校生の時から働いてるのか……?

 信じられないような気持ちで眉間に皺を寄せると、佐伯はポケットに手を突っ込んだまま言う。

「へぇ……同い年ってことは大学二年? アンタ、どこ大?」

「明成大ですけど……」

「はっ、Fランじゃん」

 背も、頭も、まとめて上から踏みつけられるような言い方に、さすがに口が半開きになる。

 店長は軽く苦笑いしつつ、「大丈夫、仕事はできる子だから!」とだけ言って、その場を離れていった。

 佐伯は俺をちらっと一瞥しただけで、表情ひとつ変えない。

 第一印象の“かっこいい”なんて、もう頭から吹き飛んでいた。

 冷たい。無関心。面倒くさそう。

 こいつが俺の指導係? 本気で嫌なんだけど。

「で、名前なんだっけ?」

「えっと……小瀧です。よろしくお願いします」

「あー、もうマジでやだ。無理そ。とりあえず同じことは二回言わないから、メモ取って」

 ……なんでお前は二回も名前を聞くくせに、俺にそんなことが言えるんだ。

 加えて、完全にやる気ゼロの声に、逆に火がついた。

 こうなったら、一言一句、全部メモしてやる。

 負けっぱなしで初日を終えるなんて、絶対に嫌だった。

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